将棋は二人零和有限確定完全情報ゲームである

1. ゲーム分類の目的


なぜ今、将棋のゲーム分類に触れるのでしょうか。ゲーム理論における分類をすることで、将棋がどういうゲームなのか、性質・特徴を理解できるのは間違い無いでしょう。

また、近いゲームはあるのか、遠からずとも似たような性質を持ったゲームは存在するのか検討してみましょう。

 

2. 将棋の分類について

まず将棋は「二人零和有限確定完全情報ゲーム」に分類されます。

- 二人ゲームとは?

 これは簡単です。2人で対戦するゲームです。
- 零和ゲームとは?

 いわゆるゼロサムゲームと呼ばれ、一方のプレイヤーの利益が他方のプレイヤーの損失に直結するという性質を持ちます。将棋でいうと一方が勝てば、一方が負け、この場合は勝った方が+1で、負けた方が−1です。引き分けであれば両者±0です。

- 有限ゲームとは?

 そのゲームにおける各プレーヤーの可能な手の組み合わせの総数が有限であるゲームのことです。将棋は両者使える駒が決まっており、ある局面ごとでは可能性のある有効手を全部数えてみたら有限ということから、将棋は有限ゲームであると言えます。

そのゲームにおける各プレーヤーの可能な手の組み合わせの総数が有限であるゲーム。(ウィキペディアより)

- 確定ゲームとは?

 サイコロを振ったり、偶然(ランダム)の要素が入り込まないゲームという意味です。
- 完全情報ゲームとは?
 ゲームの情報が完全に公開され、プレイヤーが持つ情報が完全に決定されているゲームを指します。つまり、プレイヤーは自分自身と相手プレイヤーの過去の行動と現在の状態を知っており、どのような行動を選択するか決定することができます。

 

3. その他二人零和有限確定完全情報ゲームと、それ以外に分類されるゲーム

将棋以外の代表的な二人零和有限確定完全情報ゲームは以下の3つです。

・チェス
・オセロ
囲碁

 

それ以外に分類されるゲームは以下の3つです。

・ポーカー

・麻雀

バックギャモン

 

4. 将棋が二人零和有限確定完全情報ゲームであることの意義


二人零和有限確定完全情報ゲームの意義は、なんといっても、AIによる研究がしやすいことでしょう。テクノロジーのめざましい進化を持ってしても、完全解析には遠く至らないことに将棋の魅力はあります。

また、 完全情報ゲームであることから、勝利戦略が存在することが保証されています。将棋から派生した「どうぶつ将棋」が後手必勝であることを完全解析されたように、必勝法・必勝手順は必ず存在するのです。しかし、そこに至るまでの道のりどころか、全容すら把握できないところにロマンを感じるのでしょう。